MoritaSaki in the poolというシューゲイザーバンドの初めてのワンマンライブへ行ってきました。
場所は寺田町Fireloop。
行けなかった方や行ったけど二日酔いで記憶が飛んでいる方などへも、場の雰囲気などが伝わればと思います。
早く着きすぎた。
開場の45分前に寺田町に着く。
中途半端に15分前とかに着いたらまだお客さん来てないやろう、と思って一番じゃなく誰か並んでいたらしょぼくれるやろうと無意識の自分が感じ、早めに行こうとなった。
当然でしょうけどオープン前からお客さんが並びはじめる。
お話したことはないけど、名古屋のBlurred City Lightsというバンドのメンバーもいるよう。音源は買わせていただいているのでいつか観たいと思っている。
「オープンです」
定刻にドアが開き受付で名を告げ、お札3枚とチケットを引き換える。
「入場特典ですのでどうぞ」とチロルチョコが金銭トレイの横に置かれている。
いつもならパッケージの“TIROL”があるその部分にEPのジャケットや、アー写をプリントされているチロルチョコ。
今調べてみたらオリジナルのチロルチョコを作れるようですけど、そんなん知らんから魔法を見せられてように驚いた。糊で貼ったん?など考えながら思わず「1個だけですか?」と口から出てしまう。
昔Bob Dylanのライブのグッズにも、全アルバムのジャケットをそれぞれ印刷したチロルチョコがセットで売られていました。「勿体なすぎて食べられへんやん永久に冷蔵庫保管やん、誰が買うん?」と土砂降りの雨の中、物販で眺めていたのを思い出した。
MoritaSaki in the pool、
メンバーは
ギターボーカル:りくさん、中央。マイクスタンドは80年代のヤンキーが写真に写るときのように斜に構えている。
ベースボーカル:なつみさん、客席から向かって左に。
ギター:にのみやさん、向かって右手側。
ドラム:まきさん、びっくりするくらいのダメージジーンズでりくさんのやや斜め後ろからバンドを支える。
男女2人ずつの4人組。
薄々お気づきでしょうが、モリタサキさんはメンバーにいらっしゃいません。
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【本編】
SEはThe Strokesの「I'll Try Anything Once」
メンバーが登場し、チューニングなど最終の楽器確認。
大音量で流れるThe Strokesを楽しんでいるようでもあり、静かに高揚しているようでもある。
りくさんが右手を挙げて合図のスタート。
「plastictsummertime」で、夏の暑さとめまいで視界がぼやけて音が無くなっていくような感じのイメージで、バンドの世界へ入っていく。熱中症ではない。
余韻を余韻と感じさせないように1st EPからの曲を続けて3曲演奏する。
「Ivy in Naby Skirt」の終盤にかけてのドンドンドンドンというドラムの盛り上がりが好き。この曲でにのみやさんのギターの弦が切れる。
みんなに見せるようネックを持ち上げる。公式SNSにこの時の動画があがっています。
楽器のことは無知なので切れる切れないの要因は私には判りませんが、気合いがみなぎっていたのはこちら側へも充分伝わってきました。
1回目のMC。
あとで換えると言った弦を、「不確定要素は減らしたい」と、りくさん。
ちょうどMCの時間なのでその間に。
MCは終始一貫して、ほぼりくさん。
来場の感謝を述べられ、対バンのことなど気にしなくていいので「超自由、いつも不自由」。
結成して2年までにワンマンライブをやらないといけなかった。バンドがやる一連のことを2年以内に終わらせて、3年目4年目以降は、誰もやったことをやりたい、なんにも囚われないように自由に活動するので
「一緒に来るか、対戦相手になるか」
ということを話される。
弦は結局換えきれず、もう一本の予備であろうギターでやることに。
ここからはしばらく未音源化の曲が並ぶ。
次に出すアルバム(?)のリード曲になりそうな「MIRROR'S EDGE」や、バンド史上もっともアップテンポだと思われる「IKAROS」とか。
その「IKAROS」、にのみやさんのギターの繰り返しと、なつみさんのベースの繰り返しが右と左から同時に調和されて聞こえてきて心地良いくて神々しくも感じられる。
1時間くらいなら聴き続けても大丈夫。それくらい聴いていたら身体かふわっと浮かびあがって現世とは少し違う世界へ行けるように感じる。
「Marble」のときかな。
曲が始まっても今は弾くパートじゃないみたいで、にのみやさんが何かを探してる。足元の右見て左見て、ギターの音を変えたりする機械を持ち上げてみたり。
焦りをよそに曲は進行していく。
頭の上にビックリマークが見えるような表情をし、バスドラム辺りに落ちていたカポを素早く拾いあげ、ギターのネックにさっと付け、間一髪の流れでジャンと弾く。
おおおおお。
客席もメンバーもFireloopのスタッフも心がひとつになった瞬間だったであろう。
応えるように安堵からくる笑みを浮かべるにのみやさん。サムズアップ。
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前半戦終了、2回目のMC。
バンドがツインボーカルになった経緯。
「お互いがお互いのガイドボーカルになればお互いが自由になれる」「ふたつの違う形式を重ね合わせられる」というような、MoritaSaki in the poolの話をされる。
「男女ツインボーカルをスーパーカーの影響と捉えられる」事が多いそう。
そうなんですね、私はスーパーカーは「Sunday people」しか知らない。
「俺たちはスーパーカーから影響は受けていないんだという意味でスーパーカーの曲を演ります」と会場の酒が吹きこぼれる。
カバーしたのは「u」という曲。
演り終えて「ほらぜんぜん違うでしょ」
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今後の長期ビジョンは、
「人類の再デザイン」
ということだそうです。
そのための書籍が少し前に出たライナーノーツということ。完売した1st EPのライナーノーツで、
「この内容を理解したら世界は変わると言い切れる」
最終的には保育所を作って立派な子どもを育てるようです。
立派なオトナじゃなく立派な子どもに育て上げる。
「今後子どもが生まれて俺に預けたい人はぜひ」
「オッケー」って喉元まで出てきそうになる。
おらんけどもし自分の子どもがドラえもんのテレビをりくさんと一緒に見ていたら、彼の前世は大山のぶ代って人やったとか生易しいことは言わずに、「このロボットは核爆弾持ってるで」とか「ドラえもんの登場人物は変数でしかないんやぞ、なんでかは今から教えたる」って子どもに解りやすく説明してると思う。めっちゃ良いな。
作った保育園にはもちろんプールはあって、りく園長先生は一日の大半をプールに浮いてるか沈んで費やしている。
良いイヤホンで音楽を聴いているライブ前のなつみさんの動画を
「Twitterにあがってる……、ダメだこれじゃ……」「えっくす……。エックスでリツイートされてるんで」リポストですよ園長。
次演る曲をネタばらしたにのみやさんにツッコミを入れ、「淋しいけど淋しい方が美しいですよね」とそろそろ後半の「Ice box」へ頭を突っ込む。
「For Jules」は一番好きな曲。
このワンマンライブのタイトルは「Elle Fanningに捧げます」という意味があると。
知らない方もいるかもしれませんので、Elle Fanningとは、シューゲイザー界では非常に有名で、その功績を称え学校の音楽室の壁にバッハやベートーヴェンと並んで肖像画か飾られている人物です(民明書房「音楽の成り立ちとその変貌 第三章」より)。
ただ彼の肖像画にはいろいろ噂があって、夜中の3時ごろになると絵から出てきてピアノを弾くというのが一番有名で、小学生と宿直に入った教師をビビらせる。
子どもには絵から出てきたことに対して純粋に怖がらせ、宿直者には「胸から上しか体は無いのによくピアノ弾けるよね」と別ベクトルで怖がらせている。
彼の音楽からりくさんは多大な影響を受けたんだと想像していたけれど性別から何からぜんぜん違っていた。
雲隠れの月明かりの音楽室でピアノを弾き終えた彼が、猫背気味で額縁の中へ戻っていく。
結成して2年、初期からあるけど今日が3回目の演奏という「Elle Fanning,Love you」。特に大切な曲だから演奏控えていたのかもしれない。知らんけど。これを出し惜しみと言わず何というというくらいめちゃくちゃカッコいい曲。次回の音源に入ることを願います。
サヨナラの曲をと「Light」から「She died under the bridge」へいき本編は終了。
この2曲に限らず複数の単語が曲と曲をまたいでリンクしているので(高架下とか映画とか)、曲同士の関連性やストーリ性はあると思う。それぞれの歌詞を見比べて、自分なりの解釈や時系列の組み立てを想像するのも面白い。同じ小説家の別々の作品内の時系列を整理するのが大好きなのでいつか本腰入れてやってみたい。
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アンコールは、りくさんは丸いパンを齧りながら出てくる。
「なつみちゃんが指攣ったらしくて」
右足の中指が攣りながらわたしはそれを聞いている。
「裏話なんですけど」とりくさん。
「もう一曲カバーをやろうと」思ってて「ELLEGARDENの」でゲラゲラ笑いが起きる。練習が間に合わなかったみたいです。
「最高と同時に最悪も同居している」と言ってからアンコールを演り始めるも、りくさんのギターの音がおかしくて中断。「マッシブだねー」「なんだっていいよ」と、ふわふわ再開して、静かに進んでいってぐわっと盛り上がるという曲の進行。
にのみやさんのギターの歪みもギンギンに効かせている曲をもって、初めてのワンマンライブは終わり、パンと一緒に楽屋へ戻られました。
※スペルミスなどもしあればご容時赦ください。
-setlist-
01.plastictsummertime
02.September
03.She set under the bridge
04.Ivy in Naby Skirt
-mc-
05.MIRRO'S EDGE
06.IKAROS
07.Marble
08.I irk Saki
-mc-
09.u
10.Halley!!
11.LOVELESS
-mc-
12.Ice box
13.For Jules
-mc-
14.Elle Fanning,Love you
-mc-
15.Light
16.She died under the bridge
en.Nileperch
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